腹部超音波検査
腹部超音波検査は、耳には聞こえない高周波の超音波を用いて、身体の深部にあるいろいろな臓器の形態の異常を調べます。人間ドックでは主に上腹部の臓器である肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓などのスクリーニングが行われ、日本の人間ドックでも広く採用されています。
超音波検査を用いると、いろいろな臓器の内部の細かな形態を見ることができます。癌のスクリーニングについて、例えば、肝臓癌や胆嚢癌などは、早期の場合には血液検査のみでは見つからないことがほとんどです。超音波検査を行うと、肝臓癌では径1cmほど、胆嚢癌ではさらに小さな癌も見つけることができます。また膵臓癌は早期には無症状のことが多く、痛みなどの症状がでた場合にはもうすでに病状は手遅れのことが少なくありません。こうした臓器の早期癌を見つけるためには、症状のないうちから超音波などの検査を行う人間ドックが非常に有力です。
癌のスクリーニング以外にも、脂肪肝、血管腫などの肝臓の病気、胆石やポリープなどの胆嚢の病気、結石や嚢胞などの腎臓の病気、脾臓の腫大、副腎腫瘍などを見つけることができます。
当センターでは、GE社の超音波検査装置LogiqEを使用しています。いわゆるBモードと呼ばれる断層像の他に、ドップラーモードによる血流の評価なども行っています。例えば、肝臓内に小さな腫瘍像がみられた場合に、ドップラーモードを併用し、腫瘍に流入する血流像を描出することにより、良性の血管腫の可能性が高いなどとの診断を下すことができます。
超音波検査では、プローブと呼ばれる小さな道具をジェルを介して体表に接触させるだけですので、痛みなどの苦痛は一切ありません。患者さんは、外付けのモニターを見てドクターの説明を聞きながら、検査中のイメージを一緒に観察することができます。